ブログ!(徒然日記)
となみ野高校で出会った、若者たちの眼差し
一杯入魂!仕事と私 ー
となみ野高校で出会った、若者たちの眼差し
2024年12月4日(木)、富山県立となみ野高等学校の家庭・福祉科にて、「一杯入魂!仕事と私」と題した特別講師をさせていただきました。
教室に足を踏み入れた瞬間
教室のドアを開けた瞬間、緊張した面持ちの高校生たちの視線が私に注がれました。16歳から18歳。自分がその年齢だった頃のことを思い出そうとしましたが、もうずいぶん昔のことです。いや、でも確かに自分もあの頃、同じように大人の話を聞きながら、心の中では様々な思いを巡らせていたはずです。
「将来、どうなるんだろう」 「このまま富山にいるのかな」 「海外に出てみたいな」 「でも、地元も捨てがたい」
そんな複雑な気持ちが、彼らの表情から透けて見えるような気がしました。
私が伝えたかったこと
私は高岡市出身で、伏木高校の国際コースを卒業後、アメリカで5年間留学しました。両親は寿司屋を経営していましたが、正直なところ、飲食業を継ぐつもりは全くありませんでした。でも人生は不思議なもので、今では妻とともにカフェ事業を営み、30名以上の仲間と一緒に働いています。
高校生たちに最も伝えたかったのは、シンプルだけど深い言葉でした。
「自分の人生を歩んでください。」
たくさん失敗して、たくさん痛い思いをして、そしてそれ以上にたくさん楽しくも成功体験を積んで欲しい。そこから学び成長してほしい。綺麗事に聞こえるかもしれませんが、これが本心です。私自身、富山の自家焙煎コーヒーロールケーキがテレビでバズって一晩で3,000件以上の注文が入り、対応に4ヶ月かかってしまった失敗や、完璧を求めすぎて苦しんだ経験など。その全ての過程が、今の私を作っています。と伝えました。 そして、最後に、「これが私の人生です。」と。
質疑応答で見えた、彼らの本音
講演後の質疑応答の時間。最初はシーンとしていましたが、一人の男子生徒が勇気を出して手を挙げてくれました。これから将来が不安と希望が沢山入り混じっています、と。私は自分の高校3年生から地元富山に帰って来る決断をした日までの経験を話しました。アメリカで学んだこと、帰ってきて地元で事業を始める事を決断したこと。そして今、地元の素材を使って、地元の人たちと、地元のお客様のために仕事をしている喜びを。
「出ていくことも、残ることも、どちらも正解だよ。大事なのは、自分が何をしたいか、どう生きたいかを考え続けることだと思う」
親として、大人として、感じたこと
私には3人の子供がいます。まだ小さいですが、いつか彼らもこの高校生たちのように、将来について悩む日が来るでしょう。その時、私は親として何を伝えられるだろうか。
教室を見回しながら、ふとそんなことを考えました。ここにいる生徒たちにも、心配する親がいる。地元に残ってほしいと願う親もいれば、もっと広い世界を見てほしいと思う親もいるでしょう。
私自身、アメリカに行った時、両親は何を思っていたのだろう。寿司屋を継いでくれると期待していたかもしれません。でも、彼らは私の選択を尊重してくれました。そして今、巡り巡って、私は飲食業に携わっている。人生は本当に不思議です。
講演の最中、一人の生徒がずっとメモを取っていました。真剣な眼差しで、私の言葉を一言一句逃すまいとしている様子が印象的でした。あの姿勢、その真摯さが、きっと彼女の未来を切り開いていくのだろうと思いました。
若者との対話が教えてくれること
正直に言えば、最初はこの講演を引き受けるのに躊躇がありました。自分の話なんて、高校生の役に立つだろうか。もっとすごい人、もっと成功した人の話を聞いた方がいいんじゃないか。
でも、終わってみて思うのは、私が彼らに何かを教えたというより、彼らから多くのことを教わったということです。
彼らの不安、希望、夢、葛藤。富山を出たいという気持ちと、地元への愛着との間で揺れる心。そういった複雑な感情に触れることで、私自身、初心を思い出しました。
いつの間にか、日々の業務に追われ、当たり前になっていた地元での仕事。でも、それは決して当たり前のことではなかった。選択の連続の末に、今がある。そのことを、高校生たちが気づかせてくれました。
モラトリアムという貴重な時間
高校生という時期は、社会に出る前の貴重なモラトリアムです。まだ何者でもないけれど、何者にでもなれる。その可能性に満ちた時間を、彼らは今、生きています。
ある生徒は「地元に貢献したい」と言いました。別の生徒は「一度は外に出てみたい」と言いました。どちらも素晴らしい。どちらも正しい。
私が伝えたかったのは、どちらを選んでも、大切なのは「自分の人生を歩む」ということです。親のため、友達のため、世間体のため。そういう理由で選択することもあるでしょう。でも、最終的には、自分が納得できる道を選んでほしい。
失敗してもいい。完璧を求めすぎた時期、たくさんの間違いを犯してきました。でも、その一つ一つから学び、変化に順応してきました。
ダーウィンの進化論にもあるように、生き残るのは最も強いものでも、最も賢いものでもなく、変化に最も適応できるものです。これは仕事だけでなく、人生そのものに当てはまります。自分と関係のある人たちから「あたわった」役割をしっかりと果たす。これこそが最善の生き方ではないだろうかと今は思います。
帰り道に思ったこと
講演を終えて学校を後にする時、担当の先生が伝えてくれました。「私も実は学校の先生になりたくてなったわけじゃないんです。なるべくしてなったんだなと。生徒たちも、普段になく、真剣に話を聞いていました。心に残る授業になったと思います。」と声をかけてくれました。
令和7年初積雪の富山の空は、相変わらず美しく、どこか切なくもありました。この景色の下で、何人もの若者が夢を描き、悩み、成長していく。そして私も、まだまだ頑張らなければいけない。
これからの私、これからの若者たち
高校生たちとの触れ合いを通じて、改めて思いました。私たち大人の役割は、若者に道を示すことではなく、彼らが自分の道を見つけるのを応援することだと。
地元に残る選択も、外に出る選択も、どちらも素晴らしい。大切なのは、その選択に責任を持ち、自分の人生として歩んでいくことです。
私自身、3人の子供の父親として、事業経営者として、これからも地元富山で挑戦し続けます。若者たちが「あの人みたいになりたい」とまでは言わなくても、「地元でも面白いことができるんだ」と思ってくれたら、それで十分です。
となみ野高校の生徒の皆さん、先生方、本日は本当にありがとうございました。皆さんとの出会いが、私に新たなエネルギーをくれました。
そして、これからの人生、様々な選択を迫られるでしょう。でも、どうか恐れずに、自分の心に正直に、一歩一歩進んでいってください。
たくさん失敗して、たくさん学んで、そして自分らしい人生を歩んでください。
私も、一杯入魂の精神で、これからも地元富山で、コーヒーとともに、皆さんの未来を応援し続けます。
いつか、どこかで、また会えることを楽しみにしています。
タウン情報誌「02(ゼロニイ)」に掲載! 込めた想いは**「シェアハピ」**
地元富山の大人気タウン情報誌「02(ゼロニイ)」に掲載!
込めた想いは**「シェアハピ」**のクリスマスケーキ ✨
こんにちは!19HITOYASUMI COFFEE 南砺店 製造責任者の南部愛莉香です。
本日11月25日、私たちにとって大変光栄なニュースがありました。なんと、富山県内で絶大な人気と影響力を持つタウン情報誌**『02(ゼロニイ)』**の、巻末大人気企画「スイーツ研究会」にて、私たちの新作クリスマスケーキを取り上げていただきました!
発行部数25万部という、富山県全域の各ご家庭に届く、影響力の大きな冊子に掲載いただけたこと、本当に光栄で、ご担当いただいた編集部の方々には、心より感謝申し上げます。
サプライズと感動を贈る!新作ケーキの秘密
今回ご紹介いただいたのは、新作クリスマスケーキ**「クリスマスプレゼントボックス」**です(5,980円、限定30台) 。
このケーキは、ピンク、白、黄色といったポップな淡い色合いのキューブ型ピースが並び、まるで贈り物が入った箱をかたどったかのような、アソートケーキです。チョコレート製の赤いリボンやムースが、聖夜を彩る華やかさを添えています。
私たちの店舗には、地元富山県内の砺波市、南砺市、高岡市をはじめ、県内各地からカフェやスイーツ好きのお客様が日々ご来店くださいます。そんな富山のスイーツ好きの皆様に、ただ美味しいだけでなく、サプライズ感や感動を与えたいという想いから、このアイコニックなケーキは生まれました。
💖 厳しい時代だからこそ大切にしたい**「シェアハピ」**の絆
カフェを運営する中で、お客様からは日々、たくさんの貴重なご意見やご要望をいただきます。それらを踏まえ、そして今の社会の状況、特に経済的な厳しさがある中でも、私たちが一番大切にしたい想いがありました。
それは、**家族や仲間との「大切な時間」や「絆」**を何よりも大切にしてほしいということです。
自分だけの利益や損得勘定ではなく、みんなで**「小さな幸せ」を分かち合う(シェアする)**。そうした心の交流こそが、私たち人間にとって重要な愛情や絆を育むことに繋がると信じています。
このケーキに込めたテーマは、まさに**「シェアハピ」(ハッピーをシェアする)**です。切り分ける手間がいらないキューブ型にしたのも、すぐにみんなで分け合い、「わくわく感」を楽しんでほしいという願いからです。
🌾 富山の恵みが詰まった、愛情たっぷりの味わい
もちろん、味へのこだわりも忘れていません。
ホワイトチョコでコーティングされたキューブの中身は、3種類の味わいです。
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イチゴムース
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ガナッシュを挟んだココアスポンジ
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蜂蜜レモン風味のパウンドケーキ
地元富山の食材にこだわり、高岡市・仁光園さんの平飼い卵や、県産小麦粉の「ゆきちから」を使用しています。大人も子どもも楽しめる、バランスの良い味わいが特徴です。製造責任者として、このケーキを通じて、富山の美味しい素材と、作る側の愛情の両方を、皆様にお届けしたいと思っています。
ゼロニイ掲載を機に、富山中に幸せを届けたい!
この「02(ゼロニイ)」での大きなご紹介は、私たちにとって大変な励みになりました。この記事を読んで、一人でも多くの方が、今年のクリスマスに大切な人とこのケーキを囲み、**「シェアハピ」**を感じていただけたら、それ以上の喜びはありません。
現在、12月10日頃まで予約を受け付けております。南砺店だけでなく、高岡戸出店、砺波店、amidacoffee そしてオンラインでもお取り扱いしておりますので、ぜひこの機会にご予約ください。
富山の「美味しい」と「幸せ」を、皆様の食卓へお届けできるよう、心を込めて準備を進めてまいります。
こちらの商品は、オンラインショップでも現在限定数30台で販売中です!
↓ご予約は、こちらをクリック!まだ間に合います! 12月の24までおうちに届きますよ!
ぜひ全国の皆様にも、このおいしさと感動をシェアハピしたい!とスタッフ一同心よりお祈りいたしております!
それでは素敵なクリスマスをお過ごし下さい! 19HITOYASUMI COFFEE 南砺店 製造責任者 南部愛莉香

2025”よい仕事おこし”フェア 全国信用金庫によるモノづくりJAPAN&美味逸品大展示商談会
富山県砺波市の小さなお店から超ビッグな東京ビッグサイトへ。
感謝と実りの二日間
19HITOYASUMI COFFEE 製造責任者の中山真由美です。
11月26日(水)、27日(木)の二日間、東京ビッグサイトで開催された**「2025”よい仕事おこし”フェア 全国信用金庫によるモノづくりJAPAN&美味逸品大展示商談会」**に参加させていただきました。
私たちが普段、富山県砺波市という静かな場所で、一つひとつ手作りしているお菓子を、まさか東京の大きな展示会場でご紹介できるとは、夢にも思いませんでした。この貴重な機会を振り返り、感じたことをありのままに綴らせていただきます。
砺波から東京へ、思いを運んで
今回の出展は、地元の産業を支えてくださる高岡信用金庫さんのブースにて、高岡市商工会戸出支所さんのご支援を得て実現しました。地方の、特に小さな製造元である私たちが、自力でこのような全国規模の展示会に出ることは非常に難しいことです。地元の金融機関や商工会の方々が、私たちの商品に目を留め、遠く離れた東京のバイヤーさんたちに紹介する場を用意してくださったことに、心から感謝しています。
富山で生まれた商品が、この場でどんな評価をいただけるのか、期待と、それ以上の緊張を抱えて東京へ向かいました。
展示したのは、富山の食材を活かしたこだわりの商品たちです。特に、時間をかけて自家焙煎したコーヒー豆を使用し、豊かな香りと味わいを追求した**「自家焙煎コーヒーロール(大人のコーヒーロール)」は、私たちの看板商品です。加えて、今回初めてお披露目となった、富山の風景や名産をモチーフにした「富山面白ろマグネット付きドリップパック」**も持参しました。
バイヤーさんが教えてくれた**「現場の真実」**
東京ビッグサイトの会場には、全国のデパートや小売店、専門店から、商品の買い付けをされている多くのバイヤーさんや、流通のプロフェッショナルが来場されていました。
実際にブースで商品をご紹介し、試食していただいた際、様々なご意見やご感想をいただきました。普段、砺波の店舗でお客様の「美味しい」という笑顔を見ることはできても、**「プロの目」**から見た、市場での価値や、流通における課題について、直接聞く機会は皆無です。
「コーヒー豆の香りがしっかり立っていて良いが、冷凍流通の際の品質保持についてもっと知りたい」
「富山の食材と組み合わせた地域性の打ち出し方はどうか」
「デザインは魅力的だが、ターゲット層に合わせたパッケージの改善が必要かもしれない」
こうした率直なご指摘や、具体的なアドバイスは、私たちの予想をはるかに超えるものでした。特に、**商品の製造者としての「こだわり」と、市場で求められる「実用性」**との間に、時としてギャップがあることを痛感しました。
この経験を、今後の「活力と糧」に
今回の商談会は、展示即売という形を取りましたが、私にとって最大の収穫は、売り上げよりも、この**「生きた意見」と「現場の空気感」**でした。
いつも富山の工房という限られた場所でお菓子を作っていますが、この二日間で得られた**「全国の目線」**は、今後の商品開発や品質管理、販路開拓において、非常に大きな羅針盤となります。
いただいた意見一つひとつを真摯に受け止め、製造責任者として、この体験を無駄にすることなく、日々の仕事に反映させていく責任を感じています。私たちのこだわりを大切にしつつも、バイヤーさんや、最終的にお客様に商品を届ける小売店さんのニーズに応える工夫を凝らしていく。このバランスを取ることが、これからの課題です。
この素晴らしい機会を提供してくださった高岡市商工会さま、高岡信用金庫さま、そしてブースにお立ち寄りいただいたすべての皆様に、改めて心より感謝申し上げます。
今回の経験を**「活力」**に変え、また明日から、富山県砺波市の地で、心から美味しいと思っていただけるお菓子を作り続けてまいります。
地元富山でのコーヒー教室15年目に突入!
昨日のコーヒー教室、めちゃくちゃ楽しかったです。
こんにちは。19HITOYASUMI & amidacoffee 焙煎士の渡邉功一です。
昨日、amidacoffeeでコーヒー教室をやりました。
毎月2回やってるんですが、昨日はなんだかいつもより人が多く。仕事帰りの方、家でガチでコーヒー淹れてる方、「正直よくわかんないけど、自分で美味しく淹れたくて」って飛び込んできてくれた方。いろんな人がひとつのテーブルを囲んでくれて、なんかもう、それだけで嬉しかったんです。
で、みんなでコーヒー淹れて飲み比べてたら、「え、こんなに味変わるの?」「さっきと全然違う…!」って驚いてる顔が目の前にあって。
あー、やっぱり、今回もやってよかったな、って素直に思いました。
お湯の温度、たった5度で世界が変わる話
昨日のテーマは「世界のおいしいスペシャルティーコーヒー4種飲み比べと手軽に簡単ハンドドリップレシピ伝授します!」でした。
スペシャリティーコーヒーが花開く、現代のマーケットでも本当においしいスペシャルティコーヒーでなかなか手に入らなかったり、吟味できない。そんなこと多々あると思います。そこでプロの目利きが選りすぐったエチオピア、イルカチェフェ、ナチュラルG1とインドネシアスマトラマンデリンG1ルワンダニャマシェケウォッシュド、そしてケニアAAガトンボヤこのキャラクターが明確に分かれた4つを飲み比べてもらい、コーヒーの持つ酸味特性であったり、ボディー感の違いいや甘みの特性を感じてもらいました。そして、オリジナルレシピを伝授して、みんなで豆も同じ、挽き方も同じ、量も同じで淹れ比べも行いました。変えたのは温度だけ。
面白かったのは注湯する温度の違い93℃と88℃でどれほど味わいが変わるかと言う実験です。たった5度です。でもこれが、飲んでみると全然違う。酸味の出方、甘さの広がり方、後味の残り方。ぜんぶ変わります。
最初は「うーん、なんとなく違う…気がする?」くらいだった皆さんが、何杯か飲み比べてるうちに「こっちは尖ってる」「こっちのほうが甘みが残る」「角がとれた感じがする」って、どんどん言葉が具体的になっていくんですよ。
これ、見てて本当に面白いんです。
人の味覚って、ちゃんと向き合えば、ちゃんと応えてくれる。昨日それを改めて実感しました。
寿司屋の息子がコーヒー淹れてる不思議
私は、もともと高岡市戸出の寿司・和食屋の長男なんです。
小さい頃から、父が魚をじっと見て、匂いを確かめて、静かに包丁を入れる姿を横で見てきました。「この仕事は、ちょっとした変化に気づけるかどうかで決まる」って、何度も聞かされて育ちました。とても職人気質な父でした。
18歳でアメリカのシャーロットに行き、そこで世界で今現在花開くカフェ文化に出会いました。毎日大学を抜け出しては、気の合う仲間と学校近くにあるコーヒーショップやカフェに繰り出したことを今でも懐かしくそして心地よく覚えています。日本の喫茶店ともまた違う、カジュアルなんだけど奥深い、あの空気感。「こういう場所が地元にあったらいいのに」って思ったのが、今のお店の原点です。よく当時はサードウェーブと言う言葉を耳にしましたが、それは家と職場もしくは学校の間に存在するコミュニティースペース(誰かと意見を交換したり、たわいもない話をしたり、とても豊かな時間が流れている場所)という意味です。
日本の文化の寿司じゃなくてコーヒーになってはしまいましたが、やってることの根っこは同じだと思ってます。
香りの微かな変化に気づくこと。淹れるときの小さな差を見逃さないこと。お客さんが一口飲んだときの表情をちゃんと見ること。
全部、父から教わったことと繋がってる気がします。
Qグレーダーっていう国際資格を取ったのも、「自分の感覚が独りよがりじゃないか」を客観的に確認したかったから。でも、その知識を自分だけのものにしておくつもりはなくて。昨日みたいに、いろんな人と分かち合えるのが、今は一番嬉しいです。
「教える」っていうより「一緒に試す」感覚
コーヒー教室って言うと、先生と生徒っていう感じがするかもしれないけど、僕はあんまりそういう立ち位置でいたくないんです。
昨日も「自分がおいしいと思えるものを、自分の意思で自分の体で体現するや、人に惑わされることなく、自分にとっておいしいと感じるなど、誰かがいいと言ったや、僕の顔色などは一切気にしなくていいので」なんて言いながら、みんなでテーブル囲んで、実験みたいにワイワイやってました。
参加してくれた方が「理屈で聞くより、実際に飲み比べると一瞬でわかりますね」って言ってくれて。
そうなんですよ。
教室っていうより、同じテーブルで一緒に試して、一緒に驚く時間。そんな感じでいつもやってます。
終わったあと、「家帰ったらすぐ温度計買います」「今日の味、家で再現したいです」って目を輝かせて話してくれる人がいて。今日も教室をして良かったなと心から思いました。。
コーヒーがよくわからない、という人へ
「コーヒーって難しそう」「違いがわからない」「自分には関係ない世界」
そう思ってる人、けっこう多いと思います。
でも昨日の教室を見てて思ったのは、わからないのは当たり前なんですよね。だって、比べたことがないから。
スーパーで買ったコーヒーも、コンビニのコーヒーも、うちで出してるコーヒーも、全部「コーヒー」っていう同じ名前がついてる。でも実際は、温度ひとつで味が変わるし、豆の産地でも変わるし、焙煎の深さでも変わる。
その違いを「知らない」のと「わからない」のは、全然違うと思うんです。
一回、ちゃんと比べてみたら、「あ、自分はこっちが好きだな」ってわかる。それだけで、毎日のコーヒーがちょっと楽しくなる。
難しい知識なんていらないです。「こっちのほうが好き」って言えたら、それでもう十分。今後もそういった気づきを得てもらえるような場の提供をやっていきたいなと思います。もし機会があればぜひ私が開催するコーヒー教室や体験会などにお気軽にご参加ください。心よりスタッフ一同お待ちしております。ちなみにですが、コーヒー教室などに参加しなくてもお店に来てもらって、いろいろ聞いてもらえれば、4店舗すべての店舗にコーヒーマイスターがいます。うちのスタッフはみんな勉強熱心で、最初はコーヒーに興味などなかった。スタッフなどもどんどんはまって、どんどん自分にとっておいしいを追求し始めて、そしてどんどんお客様にその感動をお伝えしたいと言う思いを持ち、マイスター取得まで至りました。ぜひお気軽に各店頭で、お悩みや聞きたいことなどあれば聞いてください!
富山でコーヒーを続ける理由
富山の呉西エリアでお店をやってるのは、コーヒーが好きだからっていうだけじゃなくて。
高岡の町並み、砺波のチューリップや柚子、南砺の干し柿や里山の景色。そういうものが全部、僕にとっての「記憶」いや、アイデンティティーになってるんです。こういった言葉があります。「土徳」や「土着」これらはとても好きな言葉です、何故かと言うとその地に根づいていると言うことだからです。根無し草やヤドカリはダメではないが少し寂しい気がします。自分の先祖や自分の心や体をはぐくみ生み出したこの土地にプライドやアイデンティティーを持つ事はとても大事なことと思います。そこで私が焙煎して、すべてのお店のブレンドコーヒーにつけている。名前はとても日本らしく。「春」「夏」「秋」「冬」「花」「風」「山」「土」「光」「月」「愛」って名前をつけてるのも、ただの雰囲気づくりじゃなくて。この土地で暮らしてる人たちの生活や景色、その空気みたいなものを、一杯のコーヒーに落とし込みたいと思ってつけた名前です。
昨日、ある方が「私は"風"が一番好きでした」って言ってくれました。「優しいけど、ちゃんと芯がある感じが自分に合ってる」って。
そう感じてもらえたなら、"風"を作ってよかったなって、心から思いました。ちなみにですが、風はソフトブレンドのことで、ベースはルワンダの優しいとても女性的な味わいです。そこに少しのエルサルバドルとエチオピアで、力強さや爽やかさの強調をしたブレンドになっています。どこまで行ってもとても優しいコーヒーに仕上がりました。ぜひ一度お召し上がりいただけたらうれしいです!
参加してくれた皆さんへ
昨日来てくれた皆さん、本当にありがとうございました。
仕事で疲れてるはずの夜に、わざわざ足を運んでくれて、真剣に香りを嗅いで、メモ取って、質問してくれて。
「楽しかったです」「また来たいです」「家でもう一回やってみます」
そう言ってもらえるたびに、この仕事やっててよかったなって思います。
コーヒーって、たかが一杯かもしれない。でもその一杯の向こう側には、作った人の顔や、土地の景色や、誰かと交わした会話がくっついてくる。
教室では豆の知識やテクニックも話しますけど、それ以上に「自分の好きな一杯を、自分で見つけていく楽しさ」を感じてもらえたら、僕にとってはそれが一番嬉しいです。
最後に
寿司屋の息子として生まれて、アメリカでカフェに出会って、今は富山でコーヒーを教えてる。
まわり道ばっかりしてきたなって思うこともあるけど、昨日みたいに、たくさんの人がコーヒーを囲んで笑ってる姿を見ると、あの日の選択は間違ってなかったなって素直に思えます。
次の教室でまた会えたら、昨日よりもう一歩踏み込んだ質問、ぶつけてきてください。僕も負けないように、焙煎機の前で日々アップデートしておきます。
今日もそれぞれの場所で、それぞれの一杯が、少しでもやさしい時間になりますように。
19HITOYASUMI & amidacoffee 焙煎士 渡邉 功一
自家焙煎珈琲ロール誕生物語 〜信じた味が全国で愛されるまで〜
甘くないロールケーキなんて売れない?最初の不安
「甘くないロールケーキなんて売れないんじゃない?」――僕たち19HITOYASUMIでこのロールケーキの開発を始めた当初、そんな声を耳にしたとき、正直言って少し不安になりました。ロールケーキといえば甘くて当たり前。コーヒー風味とはいえ、甘さ控えめの“大人のケーキ”なんて本当に受け入れられるのだろうか…。僕自身も葛藤しましたが、それでも自分たちの「本当においしい」を信じて妥協せずに追求しよう、と心に決めたのです。というのも、僕自身、実は甘さ控えめのスイーツが昔から好きで、コーヒーの香りを主役にしたお菓子をいつか作りたいと密かに思っていました。甘いケーキが苦手な方や、本物のコーヒーの風味を求める方にこそ喜んでもらえるロールケーキを作りたいと考えたんです。それはある意味挑戦でもありましたが、甘さに頼らず素材と香りで勝負するケーキというコンセプトに、僕はワクワクしていたのを覚えています。
焙煎士の情熱をロールケーキに込めて
僕はスペシャルティコーヒーの焙煎士でもあります。実は18歳で渡米し、本場のカフェ文化とコーヒーの奥深さに触れて以来、ずっとコーヒーひと筋。国際資格Qグレーダーやコーヒーマイスターも取得し、日々豆の焙煎に向き合っています。その培った技術と情熱をスイーツ作りにも活かせないか、と考えました。日々コーヒー豆の個性を引き出すために微妙な焙煎加減に心血を注いでいますが、同じようにロールケーキにもコーヒーの奥深い味わいを表現したかったのです。生地にもクリームにも自家焙煎したてのスペシャルティコーヒーを贅沢に使用し、何度も試作を重ねました。豆の挽き具合や焙煎度合いを変え、「ビターだけど嫌な渋みはない絶妙なコーヒー感」を出すために試行錯誤の日々です。そうして完成したコーヒーロールケーキは、ひと口頬張ればふわっと香るコーヒーの香ばしさとほろ苦さ、そしてほんのりとした甘みが調和する、自信作になりました。自分のコーヒーへの愛とこだわりをそのまま詰め込んだケーキと言っていいでしょう。
富山の素材にこだわる地産地消
当店自慢の『自家焙煎珈琲ロール』スペシャルティコーヒーを生地とクリームに贅沢に使い、富山県産小麦「ゆきちから」をはじめ、地元産の平飼い卵や国産バターなど地元の素材もたっぷり使用しています。苦味と甘みのバランスが絶妙な、大人のためのロールケーキに仕上がりました。僕たちは地元・富山のカフェだからこそ、素材選びにも富山県産にこだわりたいという想いが強くありました。地元の良質な素材を使うことで、生産者の方々とも繋がりが生まれますし、何より新鮮で安心できる美味しさをお届けできます。このロールケーキには富山の恵みがぎゅっと詰まっているんです。地元に根ざした店として、生産者の方々と二人三脚で良いものを作り上げていくことは僕たちの誇りでもあります。お客様からも「地元の素材で安心して食べられる」「富山らしいケーキで嬉しい」といった声をいただくことが多く、地産地消にこだわってよかったと実感しています。
テレビ紹介が転機に:一気に全国区の話題へ
こうして誕生した『自家焙煎珈琲ロール』ですが、販売開始当初はやはり「苦すぎるかな?」と半信半疑のお客様も少なくありませんでした。それでも一度召し上がった方からは「コーヒーの香りがしっかりして美味しい!」と好評で、リピートしてくださる方も増え、口コミでじわじわと広がっていったのです。それがある日、テレビ番組で紹介されたことをきっかけに、一気に全国的な話題へと飛躍しました。TBS系列の番組「坂上&指原のつぶれない店」で、取引先である山梨県のスーパーひまわり市場さんがこのロールケーキをイチオシ商品として紹介してくださったんですね。番組で自分たちのロールケーキの名前が映った瞬間、スマホが急に通知が止まらなくなり、SNSのフォロワーが急に1000件以上増えたりそれが一晩中続きスマホがアチチの状態になったことを今も良い思い出として覚えています。 放送直後から反響は凄まじく、電話やオンラインショップには注文が殺到!ネット注文だけでも3000件、連日お店の方にもたくさんのお客様がご来店されたり、お取引様からの引き合いのご連絡が方々から寄せられたり、全国各地から「食べてみたい」「取り寄せたい」という嬉しい声が寄せられました。そんなこともあり4ヶ月待ちになることもありました。それぐらい待ってでも食べたい待ってるよと言う声掛けはとてもうれしもありがたいお言葉でした。 スタッフ総出で急ピッチで製造・発送対応に追われる日々が続き、寝る間も惜しんで焼き続ける毎日でしたが、「届くのを楽しみにしています!」というお客様の声に支えられ、不思議と疲れも感じませんでした。店頭販売を一時ストップし、通販対応に集中したほどです。ちなみに、遠方のお客様にも出来立ての美味しさを楽しんでいただけるよう、焼き上げたロールケーキは最新の瞬間冷凍機で急速冷凍して発送しています。解凍後もしっとりふわふわな食感が損なわれないため、「遠くに住んでいても本格スイーツが味わえる!」と好評を頂けました。SNSや口コミでも「コーヒーの香りが本格的で感動!」「甘すぎなくて大人向けの絶品スイーツ」といった多くの喜びの声が広がり、僕たちの小さなカフェのロールケーキが一躍全国区のスイーツになった瞬間でした。
信じた味が評価された喜びと感謝
自分たちが心から美味しいと信じて送り出したロールケーキが、こうして全国の皆さんに受け入れられ、高い評価を頂けたことに、感動と感謝の気持ちで胸がいっぱいです。「自分たちが信じた味が評価された」――その実感が湧いたとき、思わず熱いものが込み上げてきました。当初「甘くないロールケーキなんて…」と言われても貫いた僕たちの想いが報われたんだ、と。何より、お客様から寄せられる「おいしかった!」「また食べたい!」という声ひとつひとつが嬉しくてたまりません。例えば、「コーヒー好きの父の誕生日に贈ったら大変喜んでくれました!」といったエピソードを伺ったこともあります。自分たちのケーキが誰かの大切なひとときに彩りを添えられたのだと思うと、本当に作って良かったなあとしみじみ感じます。開発から販売まで支えてくれたスタッフや地元の生産者の方々、そして何より手に取ってくださったお客様に、心から感謝しています。
最後に、今回の経験から強く感じたのは、「本当においしい」と信じるものを作り続ける大切さです。たとえ最初は非常識に思えるアイデアでも、情熱をもって追求すれば、必ずその想いは届くのだと身をもって知りました。これからも僕たちは、コーヒーとスイーツに情熱を注ぎ、“ひとやすみ”したいときにそっと寄り添えるような美味しさをお届けしていきたいと思います。僕たちが信じた味を、ぜひこれからも多くの方に楽しんでいただけますように。最後まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!
自家焙煎珈琲ロール誕生物語




















